カテゴリー: 少女漫画を知る

雑誌・作家・歴史などの読み物

  • 少女漫画の歴史をざっくり年表で|日本初の作品から、花の24年組、歴代売上トップ5まで

    少女漫画の歴史をざっくり年表で|日本初の作品から、花の24年組、歴代売上トップ5まで

    少女漫画は、100年近い歴史のなかで何度も「新しい当たり前」を生んできました。この記事では、はじまりから今までの流れを、年代ごとにざっくりたどります。くわしい作品紹介は、それぞれの記事でゆっくり。

    日本初の少女漫画は?

    よく「日本初の少女漫画」と紹介されるのは、手塚治虫『リボンの騎士』(1953年〜『少女クラブ』)です。宝塚歌劇の影響を強く受けた、男装の王女サファイアの冒険物語。長い物語を何回にもわたって読ませる「ストーリー漫画」を少女誌に持ち込んだ作品として、この位置づけが通説になっています。

    ただ、「少女が主人公の漫画」「少女向け雑誌に載った漫画」まで広げると、もっと前にさかのぼれます。

    • 1920年代:新聞の4コマ・コマ漫画に、少女が主人公の作品が登場(前川千帆「みい子」1922年 など)
    • 1930年代:少女雑誌に漫画が載りはじめる(田河水泡「スタコラサッチャン」1932年『少女倶楽部』、松本かつぢ「くるくるクルミちゃん」1938年『少女の友』など)
    • 1940年:長谷川町子「仲よし手帖」(『少女倶楽部』)

    つまり「何をもって少女漫画と呼ぶか」で答えが変わります。いまの少女漫画につながる“物語として読ませる少女漫画”の出発点としては、『リボンの騎士』と覚えておけばOKです。

    1950〜60年代:雑誌がそろい、女性作家が増える

    • 『なかよし』(1954年)、『りぼん』(1955年)が創刊。いまも続く2大少女誌がこの時期に生まれます。
    • はじめは手塚治虫・石ノ森章太郎・赤塚不二夫(「ひみつのアッコちゃん」1962年)など、男性作家も多く描いていました。
    • 1959年に少年週刊誌が創刊されると、男性作家は少年誌へ。代わりに水野英子、わたなべまさこ、西谷祥子ら女性作家が活躍しはじめます。
    • 『週刊少女フレンド』(1962年)、『週刊マーガレット』(1963年)、『少女コミック』(1968年)が創刊し、少女漫画は週刊誌の時代へ。
    • 「アタックNo.1」(1968年)などスポーツものもヒット。

    1970年代:「花の24年組」と、少女漫画の大革命

    70年代は、少女漫画がいっきに“表現の最前線”になった時代です。中心にいたのが「花の24年組」。昭和24年(1949年)前後に生まれた女性漫画家たちをまとめた呼び名です。

    作家代表作(連載開始・掲載誌)
    萩尾望都『ポーの一族』(1972年〜『別冊少女コミック』)、『トーマの心臓』(1974年)、『11人いる!』(1975年)
    竹宮惠子『風と木の詩』(1976年〜『週刊少女コミック』)、『地球へ…』(1977年〜『マンガ少年』)
    大島弓子『綿の国星』(1978年〜『LaLa』)
    山岸凉子『日出処の天子』(1980年〜『LaLa』)

    このほか、木原敏江・青池保子らも同じ世代として名前が挙がります。SF、ファンタジー、少年同士の心の結びつき、生と死。「女の子にはわからない」と思われていたテーマを、少女漫画のど真ん中で描きました。萩尾望都と竹宮惠子が共同生活をしていた東京・練馬の「大泉サロン」は、“少女漫画のトキワ荘”とも呼ばれます。

    同じ70年代には、こんな大ヒットも。

    • 池田理代子『ベルサイユのばら』(1972年〜『週刊マーガレット』):宝塚での舞台化も含めて社会現象に。累計2000万部以上
    • 山本鈴美香『エースをねらえ!』(1973年〜)
    • 美内すずえ『ガラスの仮面』(1976年〜『花とゆめ』)、細川智栄子あんど芙〜みん『王家の紋章』(1976年〜『月刊プリンセス』):どちらも長期連載に
    • 『花とゆめ』(1974年)、『LaLa』(1976年)など新しい雑誌も次々創刊

    70年代後半の『りぼん』では、陸奥A子・田渕由美子・太刀掛秀子らの「乙女ちっく」がブームに。ふつうの女の子の、ささやかでかわいい恋と日常。いまの“等身大の恋愛もの”の原点のひとつです。

    1980年代:りぼんの時代、等身大の恋とギャグ

    • 『りぼん』が勢いを増し、池野恋『ときめきトゥナイト』(1982年〜)、一条ゆかり『有閑倶楽部』(1981年〜)、さくらももこ『ちびまる子ちゃん』(1986年〜)などがヒット。アニメ化で少女漫画が“お茶の間”に広がります。
    • 紡木たく『ホットロード』(1986年〜『別冊マーガレット』)など、思春期のリアルな痛みを描いた作品も支持を集めました。
    • 少女漫画を卒業した読者に向けて、大人の女性向けの雑誌(いわゆる女性漫画・レディースコミック)も広がっていきます。

    1990年代:雑誌の黄金期と、メディアミックス

    少女漫画誌の部数がピークを迎えた時代です。『なかよし』は1993年に約205万部、『りぼん』は1993年末に255万部に達し、これは少女漫画誌として史上最高とされています。

    • 『なかよし』:武内直子『美少女戦士セーラームーン』(1991年〜)、CLAMP『カードキャプターさくら』(1996年〜)
    • 『りぼん』:吉住渉『ママレード・ボーイ』(1992年〜)、矢沢あい『天使なんかじゃない』(1991年〜)、小花美穂『こどものおもちゃ』(1994年〜)
    • 『マーガレット』:神尾葉子『花より男子』(1992年〜)
    • 『花とゆめ』:高屋奈月『フルーツバスケット』(1998年〜)

    アニメ・グッズ・ゲームと一体で広がる「メディアミックス」が当たり前になり、海外でも少女漫画が読まれるきっかけになりました。

    2000年代:大人の少女漫画と、ドラマ化ブーム

    • 矢沢あい『NANA』(2000年〜『Cookie』)、羽海野チカ『ハチミツとクローバー』(2000年〜)、二ノ宮知子『のだめカンタービレ』(2001年〜『Kiss』)など、大人の読者も巻きこむヒットが続きます。
    • 『花より男子』(2005年)、『のだめカンタービレ』(2006年)などのドラマ化で、原作を知らない層にも少女漫画が届きました。
    • 椎名軽穂『君に届け』(2005年〜『別冊マーガレット』)、末次由紀『ちはやふる』(2007年〜『BE・LOVE』)も、この時期に始まります。

    2010年代〜いま:実写映画とスマホの時代

    • 2010年代は、学園恋愛ものの少女漫画が次々と実写映画化されました(『アオハライド』『ストロボ・エッジ』など)。
    • 紙の雑誌の部数は落ちる一方で、電子書籍・マンガアプリで読む人が主流に。アプリ発のヒットや、スマホで読みやすい縦スクロールの作品も増えています。
    • SNSやショート動画で作品が話題になり、昔の名作がもう一度読まれる流れも生まれています。

    歴代の発行部数トップ5

    少女漫画(少女誌に連載された作品)で、累計発行部数が多いとされる作品です。数字は出版社などが発表した時点のもので、時期や数え方(電子書籍を含むかどうか)がそろっていないため、目安として見てください。

    順位作品作者連載累計部数(目安)
    1花より男子神尾葉子1992〜2003年約6100万部
    2ガラスの仮面美内すずえ1976年〜(休載中)約5000万部
    2NANA矢沢あい2000年〜(休載中)約5000万部
    4美少女戦士セーラームーン武内直子1991〜1997年約4600万部(電子含む)
    5王家の紋章細川智栄子あんど芙〜みん1976年〜約4000万部

    このあとに『君に届け』(約3600万部)、『ちびまる子ちゃん』『イタズラなKiss』(各約3500万部)、『ときめきトゥナイト』『フルーツバスケット』(各約3000万部)が続きます。女性誌連載まで含めると『のだめカンタービレ』(約3900万部)も上位に入ります。

    ※記事中の年や部数は、公開時点で編集部が確認できた資料にもとづいています。まちがいに気づいたら、お問い合わせから教えてください。